芸術家の塩田千春、ル・ボン・マルシェで開催の「どこへ向かって」展で独自の網を張る

セレクティブ・リテーリング

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糸を編んで創られたサイトスペシフィックインスタレーションで知られる日本人アーティスト、塩田千春の特別展が、2017114日から218日までル・ボン・マルシェで開催されました。塩田千春が百貨店の中で創作したものは、150隻の小舟が浮かぶ波でした。

日本の丸亀市現代美術館 (MIMOCA) と第56回ヴェネツィア・ビエンナーレでの作品展に続き、塩田千春のインスタレーションがル・ボン・マルシェにやってきました。百貨店を訪れた人々は、「どこへ向かって」と題されたエキシビションで、夢のような体験を楽しみました。日本とドイツで絵画と素描を学んだ塩田千春は、二次元のキャンバスに限界を感じ、空間にものを描く媒体として糸に注目。塩田千春を中心とするチームは、ル・ボン・マルシェの展示作品に加え、オープニングに先立つ2週間、店舗の10カ所のショーウィンドウに作品を織り上げました。

© Gabriel de la Chapelle

機織りにインスピレーションを得た夢のような三次元の作品は、多様な文化に属するあらゆる大きさの小舟150隻を表現したもので、空っぽの船体がル・ボン・マルシェの中央のガラス円蓋の下に吊るされました。すべての小舟は一様に空の方へ舳先を向け、希望と未来を象徴します。塩田千春は、この大規模な束の間のインスタレーションの下に「海洋の記憶」と題する目を見張るような波を織り上げており、訪れた人々はまるで海中を進むようにその間を歩いていきました。

© Gabriel de la Chapelle

エキシビションのタイトルは新たなスタート、行先の定まらない旅を思わせます。塩田千春は作品を通して、私たちが人間として、個人として日々織りなす様々な結びつきを探ります。記憶、行動、やり取り、思考、夢が一つに合わさり、ここにしかない儚い網を形作るのです。