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社会責任と環境責任

エコ照明

照明技術の進歩により、少ない消費エネルギーで発光できるようになっています。LED (発光ダイオード) 照明は、従来の照明と比較して、平均40%消費エネルギーを削減します。

グループの温室効果ガス排出量の80%が4,700店舗でのエネルギー消費に直接起因しているため、このことはLVMHにとって極めて重要です。ちなみに全店舗の合計フロアスペースはおよそ150万平方メートルで、サッカー場200個分に相当します。また、店舗のエネルギー消費量の半分は照明によるものなので (残り50%は主に空調と暖房による)、現在から2020年の期間でエネルギー消費から25%のCO2排出量削減を目指すLVMHにとって、よりエネルギー消費量が低いテクノロジーは必要不可欠です。

新しいLEDソリューションをフルに活用して、エネルギー消費を抑えながらもメゾンを明るく照らすため、2013年にLVMH照明プログラムを創設しました。LVMH照明プログラムでは、LED照明設置についてメゾンの建築チームをサポートし、店舗スペースや製品の強化につなげます。LVMH製品は、細部にいたるまで細心の注意を払い、継続的なイノベーションと卓越性の追求をもって、製造されています。そして店舗の照明を決めるのも同様の原則です。

© DR Chaumet
© SWPhotography

カスタマーエクスペリエンスをライトアップ

LVMHは、店舗においてお客様に優れた体験を提供するうえで、照明がどれだけ欠かせないものであるかを理解しています。LEDライトは信頼性が高く、環境にやさしいソリューションで、持続可能性にもコストパフォーマンスにも優れています。また、LEDライトを使用することで、クリエイティブな余地がかなり得られるので、洗練を極めた照明デザインが可能になり、製品をさりげなく展示しながらも、エレガントな視覚的快適性を実現することができます。グレアや光のコントラストの差が激しい2つの環境間を移動した際の視覚ストレスを防いで、製品がすぐにお客様の目に止まるようにすることができる光源を隠すといった手法が典型的な例です。

«LVMHは、店舗においてお客様に優れた体験を提供するうえで、照明がどれだけ欠かせないものであるかを理解しています。»

© DR Celine

LVMH、第2回LIFE in STORES賞を開催:各メゾンで環境エクセレンスを推進するLVMHが、グループの店舗で達成された最も優れた成果を表彰

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視感のイノベーション

LVMH照明プログラムでは、グループの建築家や照明デザイナーと協力して、彼らが創造性や美的アプローチを自由に発揮できるよう専門知識を提供しています。サプライヤーのネットワークとの特別な関係を結んでいるため、LVMH照明プログラムはカスタマイズしたソリューションを提供することができます。実際に注文されるスポットライトの80%は標準のカタログ製品ではなく、イノベーションの最先端にある新製品です。

LVMH照明プログラムが環境パフォーマンスを活用して、イノベーションを推進していることも同じく重要です。グループの全店舗で従来の照明をLEDに交換するという大きな挑戦に対応するため、LVMH照明プログラムは著名な照明デザイナー、エルベ・デスコットと協力関係を結びました。こうした、「レトロフィット」と呼ばれる従来の照明からのLEDへの移行を可能な限りシームレスに行うため、LEDの径を当時の標準 (50mm MR16メタルハロゲンランプ) と一致させる必要がありました。問題は、この製品がすでに市場で手に入らないことでした。この問題に対処するため、LVMHは日本のシチズン電子と連絡を取り、2年間を研究開発に費やして、まったく新しいライトを設計していただきました。この「Light Engine」というブランドのLEDランプは2017年より販売されています。このランプは、40Wのメタルハロゲンランプと同じ明るさながら、その消費電力量は12Wです。もう1つの大きなアドバンテージは、寿命が5年に延びていることです。

© DR T Fondaco Dei Tedeschi

2020年までに完全LED化を完了

LED照明はLVMHのエネルギー消費量削減の取り組みに大きく貢献しており、LED設置キャンペーンはすでに具体的な結果を出しています。当グループは、当初、2020年までに店舗での温室効果ガスを25%削減することを目標としており、うち15%をLED照明、10%をグリーン電力の使用で実現すると考えていましたが、2017年の終わりには、LEDの発展により19%のエネルギー節約が可能になっていました。しかし、当グループは、この進歩でよしとするのではなく、2020年までにLEDの採用で30%のエネルギー削減を達成するという目標を設定しました。
LVMH照明プログラムは、2020年までに全店舗の完全LED化を完了するというグループのプランの陣頭指揮を執っています。2017年末の時点でLEDへの移行が完了した店舗が全体の3分の1に過ぎない以上、この目標は確かに野心的な挑戦です。より複雑になる可能性があるとともに、新たな建設または改築プロジェクトを待つよりも、店舗をレトロフィットするほうがコストがかかることが珍しくない可能性もありますが、この取り組みは明らかに効果をもたらしています。  セフォラ、ブルガリ、ル・ボン・マルシェなどの一部のメゾンは、すでに積極的なレトロフィットプログラムを完了しています。さらに、そのようなプロジェクトをサポートするため、LVMHは炭素基金の総額を2017年の倍にあたる1,200万ユーロに増額しました。

© Pixelis

LVMH照明プログラムは、2020年までに全店舗の完全LED化を完了するというグループのプランの陣頭指揮を執っています。

地道なエレガントを称える

LVMHグループの店舗による模範的な環境イニシアティブを評価するためのLVMH LIFE イン・ストア・アワードには、照明に特化した「Lighting Design」賞と「Lighting」特別賞が含まれています。2018年は、DFSがヴェネチアのT フォンダコ デイ テデスキで「Lighting Design」賞を受賞し、セフォラヨーロッパがレトロフィットの取り組みで「Lighting」特別賞を受賞しました。2016年の第1回LIFE イン・ストア・アワードでは、セフォラがカリフォルニアのハンティントンビーチ店により「Lighting Design」賞を獲得しました。「Lighting」特別賞については、香港のコーズウェイベイ (銅鑼湾) にあるTギャラリア ビューティー by DFSが、1平方メートルあたりの照明による電力消費が最も少ないという記録を出し、DFSが受賞しました。

DFSとセフォラは、照明プロジェクトがエレガントとエネルギー効率を同時に実現できることを明確な形で証明しています。LVMH照明プログラムとその照明デザイナーのネットワークは、すべての照明関係のイニシアティブについてメゾンの建築家と連絡を取り、自然または人工のどちらであるかにかかわらず、照明のあらゆる側面を詳細に定義しています。単に照明の力を一様に注目するのではなく、目を引き付けるための重要な要素である演色やコントラストといった重要な側面に焦点を当てています。また、それぞれの環境に最適な製品を入念に選択し、それぞれのスペースにどのようにライトを構成するかを決定します。

© DR Louis Vuitton

2018年、LVMHは、建築家と店舗プランナー向けに特別に考案されたトレーニングプログラムを設けました。このトレーニングプログラムは、照明に特化したモジュールなどで構成されており、建築家や店舗プランナーが店舗の環境的なパフォーマンスを最大限発揮できる内容となっています。「LIFE Influencers Agency」と名付けられたこのトレーニングは、神経科学の専門家の協力のもと開発されており、6か月にわたる10分間の短いオンラインセッションと、5回の1日ワークショップを組み合わせた構成となっています。

LEDテクノロジーは、現在目覚ましいパフォーマンスを実現していますが、いまだごく初期段階にあります。LEDの光出力は、およそ18~24か月ごとに処理能力が倍増するコンピューターに相当するペースで向上しています。さらなる進歩の可能性は非常に大きく、現在市販されているLEDは、1Wあたり100ルーメンの発光効率を備えていますが、研究所ではすでに3倍の効率を備えたライトが設計されています。

© DR Sephora
© DR Guerlain

将来を見据えたテクノロジー

加えて、LEDは、まだ見つかっていない数多くの用途があると考えられる斬新なデジタルテクノロジーです。現在、従来の照明の代替品として使用されているLEDは、とりわけインテリジェンスを埋め込むことで、数年以内に店内の設計の創造性を加速させることになるでしょう。

LVMH照明プログラムでも、照明がカスタマーエクスペリエンスの品質にどのように影響するのかについて理解を高める取り組みを続けています。店舗の照明の影響を評価するため、科学的な研究が行われる可能性もあります。さらに、世界の様々な地域がそれぞれ特定の「照明文化」を持っているため、LVMH照明プログラムでは、店舗照明を現地の文化にマッチさせる方法の検討を開始した一方、それぞれのメゾン独自の照明の特徴を忠実に守り、もちろん環境を尊重します。