専門とする職業は?
私は、タグ・ホイヤー インスティテュートという研究・開発・イノベーションを行う部門の、時計製造アナリストです。新素材や新たな技術などを取り入れた革新的コンセプトに沿って、組み立て・テスト・測定といった工程などを調整しながらプロトタイプを完成させます。この部門はタグ・ホイヤーだけでなく、LVMHグループ内の他の時計ブランドの業務も行っています。
経歴は?
私の経歴は平坦ではありませんでした。工学系グランゼコールの選抜試験に失敗したことが、大きな転機となりました。そのタイミングで時計製造への情熱を膨らませ、職業について学ぶためにCAP(職業適任証)、BMA(芸術職免状)を順に取得しました。そして、時計製造分野ではフランスの最高学位であるDMA(芸術職学位)を取得した後、タグ・ホイヤーに入社しました。メゾンで働き始めて4年になります。
この職業に求められる主な資質とは?
オープンマインドです。時計製造技術の限界を押し広げることに従事しているため、普段から、時計製造業の伝統職人の世界と最先端技術の世界との懸け橋となっています。ですから、新しいアイデアに対して常に「やってみよう」と言えることが必要です。どんな結果に行き着くのか試してみることで、非常に伝統的なサヴォワールフェールでさえも進化させるのです。
この職業で感動を覚えることは?
一日一日に変化があることです。様々な分野の職人たちと接することから、毎日新しい気付きがあります。タグ・ホイヤー インスティテュート内では、互いに切磋琢磨する空気が感じられます。それがとても良い刺激となり、メゾンの未来を担う製品の開発に誇りをもって取り組むことができます。
エピソードは?
2017年にメゾンに入社して初めて関わったプロジェクトは、白紙からスタートし、かなり短い期間で完成を求められたもので、とても思い入れがあります。プロジェクトでは、何世紀も前から存在するヒゲゼンマイの刷新を目指し、高い振動数をキープしながら、シリコンを含む新しい素材を取り入れました。