百貨店のポジショニングをどのように強化するか？

• 目標：
  快適さと多様なお客様への対応を追求して設計された環境において、最先端の製品を今後もお客様に提供していくために、世界初の百貨店であるル･ボン･マルシェに新鮮なエネルギーを注入する。

• 戦略：
  ストアのDNAを守りつつ、お客様の新たな期待に沿うため、一カ所ずつ段階的に改装を進める。

• 結果：
  世界各地からのお客様に向き合いながらも、パリというルーツを巧みに前面に押し出した百貨店で提供するまったく新しいカスタマーエクスペリエンス。この戦略によって売上が飛躍的に上昇。

1852年、百貨店の先駆的なコンセプトを取り入れて開店したル･ボン･マルシェは、2012年の160周年を機に、意欲的な改装プロジェクトに着手しました。現代化戦略の主要コンセプトは、慎重に選び抜かれたブランドをそろえ、お客様ひとりひとりのご要望に応えられる場を生み出し、ルイ-シャルル･ボワロとギュスターヴ･エッフェルが19世紀に設計した比類のない建築を際立たせるということでした。

売場面積30,000平方メートルにおよぶ改装が4年間の工事を経てほぼ完了した2016年、ブランドはそのDNAを最大限に活用しつつ、すっかり生まれ変わりました。2棟の建物は、スタイル、ファッション、文化を専門に扱う本館と、グルメ食品および家庭用品を扱う別館という2つの部門にはっきりと分かれています。お客様が売場を行き来しやすいよう、2棟の2階と3階がいずれも新たに設計された二重の連絡通路で結ばれた他、地下の紳士服売場とワインセラーともつながりました。また、この売場再編によって、ラ･グランド･エピスリーは本館と同じダブルエスカレーターで新しい家庭用品売場と直結しました。

靴売場はこの改装の成功を象徴する存在です。2015年2月にオープンした売場は、面積が2倍の2,000平方メートルに拡大され、もとの2階から日光が降り注ぐ3階に移りました。改修により姿を現した、歴史を感じさせるエッフェルガラス天井に覆われた売場は、80以上のブランドが提供する最新作を取り揃えており、地上階からも目にすることができます。

売場に並ぶ靴の約30%はル･ボン･マルシェ限定商品です。また毎シーズン、パートナーブランドが生み出したトレンドを取り上げるのも特徴です。オープンを飾った「グリッター」に続くテーマは「クレイジー･アニマル」で、ル･ボン･マルシェのためだけにデザインされた特別なモデルを数多く発表しています。また、ポップアップスペースではパートナーブランドを取り上げています。例えば、2015年末は10周年を祝ったニコラス･カークウッド、この冬はウィメンズカプセルコレクションを発表したベルルッティでした。

商業チーム、バイヤー、スタイリング部門と緊密に連携して、社内の建築チームが設計した新しい靴売場は、お客様からもメディアからも高く評価されています。商業チーム、バイヤー、スタイリング部門と緊密に連携して、社内の建築チームが設計した新しい靴売場は、お客様からもメディアからも高く評価されています。

2015年、ル･ボン･マルシェでは地元のお客様による15%の増加と、世界各地からのお客様による30%の増加を含め、全体の売上が大幅に伸びました。全面的に見直されたサービス内容と、マーティン･パーによる新たな広告キャンペーンに支えられたこの成果は、ル･ボン･マルシェの信頼性と独自のアイデンティティーに根差した大胆な長期戦略の有効性を裏付けるものです。